hyuga_kabocha(まっきー)のブログ

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ラブ・ネバー・ダイの感想&妄想【その2】

【その1】の続きです。というわけで「月の無い夜」から。
10年前の夜を思い出し、ファントムとクリスティーヌが感情と歌をぶつけあい、重ねあう、とても良い曲です。
と同時に、ストーリー的には、『オペラ座の怪人』を観た全員から
「だからその夜っていつだよ!『オペラ座~』のどのタイミングだよいつの間にだよ!!」
と総ツッコミを受けるシーン。
タイミングのことを置いておいても、「男女の仲になっていたのか…」というのは前作からするとだいぶ衝撃的事実です。この点についてはここに書ききれないくらいいろいろな意見やツッコミが出ていて面白かったのですが、「ファントムは大人なのになんで避妊しなかったの」というツイートには崩れ落ちました。
まぁその話をするならまず『ミス・サイゴン』のクリスを連れてきて2人並べて話はそれからです。
 
話を戻して、クリスティーヌが「愛してたのに!どうして!!」とファントムに感情をぶつけるシーン。
市村ファントムはものすごく衝撃を受け、クリスティーヌに気押されながらも自分の想いを説明しようと必死ですが、
鹿賀ファントムは今にも泣きそうな子どもの顔でクリスティーヌを見つめます。冒頭の魔王は影も形もありません。
 
(ちなみに、うろ覚えで正確ではありませんが、Wファントムへの誉め言葉として
「市村ファントムはあんな最低なダメ人間を見事に演じて説得力とリアリティを持たせていてすごい」
「情けないダメ男っぷり、男としてのクズっぷりなら鹿賀ファントムのほうがにじみ出ていて良い」
という内容の、もはや誉めてるんだか何だかわからなくなっているけど、どちらも何となくわかるツイートがあって面白かったです。)
 
そして2人は過去の想いを歌い、歌を重ねるわけですが(2割増しでエロくなっていたという鹿賀ファントムの創作歌詞も聴いてみたかった…)、この後クリスティーヌはファントムを拒絶。すると市村ファントムは脅すように強く、鹿賀ファントムは懇願するように、
「1曲だけでいい、もう1回だけ私の曲を歌ってくれ」
 
この辺りも、「怪人」の怖ろしさを維持する市村ファントムと、クリスティーヌの前では「phantom」ではなくなっている鹿賀ファントムの違いが出ている感じがします。
鹿賀ファントムは、懇願も交渉も通りこして「たったの、たったの1曲だよ?! なんで歌ってくれないの?!」くらいのノリのときもありました。子どもか。
(本当にクリスティーヌの前では子どもみたいになる鹿賀ファントム)
 
そして2人の元へ、勢いよく駆け込んでくるグスタフとファントムの対面。加藤グスタフが鹿賀ファントムのマント裾を踏んでしまっていた回は、3人がものすごく寄りそった状態で話が進んで面白かったです。
グスタフに語りかけるファントムも全く違いました。
市村ファントムは「ふはははは、私がつくりあげた世界だ!今こそ君に見せよう!」みたいな勢いで怪人としてキメッキメで話しかけていましたが、
鹿賀ファントムは「私がつくりあげた世界さ~♪君にも見せてあげよう~♪」みたいにとても嬉しそう&楽しそうで、高揚して話しかけている感じでした。
蛇足ながら、ここでグスタフをバルコニーの手すりに立たせたファントムが、歌の合間に「どうかお許しを、マダム」と一言挟むところが大好きです。
 
グスタフ退場。
ファントムが「なんて子だ。活き活きしている。まさに君そのものだクリスティーヌ!」と言うシーン(台詞の細かい部分は流動的)。鹿賀ファントムが一度だけ「にこにこしている!」と言ったというのをツイートで見て噴き出してしまいました。ダメだ、その場にいたら確実に噴いたからいなくてよかった(でも観たかった!)。初見なら気づかなかったかもしれませんが。
 
翌日、コニーアイランドの舞台裏へやってきたラウル一家。
どなたかのツイートで気づかされたのですが、ここで「待ちなさい、グスタフ」と呼びかける万里生ラウル、めちゃくちゃ優しい声でびっくりします。これを観ると、ラウルってほんとに、何かを間違わなければものすごく良い父親になれるはずだったのでは…と思わされました。
 
余談ながら、メグとクリスティーヌの再会シーン。
再開してから「乾杯」の歌が終わるまで、クリスティーヌは一度もメグの名前を呼ばないので、初見のときは「もしやクリスティーヌ、実はメグをちゃんと思い出せていないのでは。顔覚えてるけどえーっと、と必死で思い出しているのでは」などと変なことが脳裏をよぎるなど
 
「乾杯」のカルテットは、4人の歌と歌詞が見事に調和して、「これぞミュージカル!」という感じでいいですね。ここの最後でメグに「ハッピーエンドに~♪」と歌わせるなんてどれだけリピーター狙い撃ちの演出だ、というかどんなフラグだ。
 
消えたグスタフを追ってクリスティーヌ、メグ退場。場面はファントムの部屋へ。
 
グスタフに「冒険の準備中です。しばらくお待ちを、若き子爵様」「子爵様はピアノを(お弾きになられるのか)?」と語りかける紳士風ファントム大好き。市村ファントムはもちろん、鹿賀ファントムもここでは「怪人」風にキメています。「若き」の部分は「小さな」「未来の」など結構バリエーションがあったような。
 
喜んでピアノを弾くグスタフ。グスタフの奏でたメロディーにファントムが愕然としている後ろで、道化3人衆までがわたわたびっくりしている様子も、かわいくて面白い。ファントム本人はもちろん、この3人がわかるレベルでそっくりって、そりゃびっくりするよね、という説得力もちょっとだけ増しますし。
グスタフが10歳という事実でまさかと思ったファントムは、グスタフを抱え(今度は1人だがんばれファントム!)、「見せたいものがある。どう思うか知りたい!」とグスタフをコレクションルームへ。私がLNDでいちばん好きなナンバー『美の真実』の始まりです。
 
私、鹿賀さんのどの役も大好きなのですが、特に鹿賀ハイドがそりゃもう大好きで、そんな好みの人間にとっては、このライティングとセットの中、鹿賀ファントムがこの曲を歌っているともうたまらんのです。
市村ファントムも、このナンバーはまた特に、力強さと熱さと迫力に溢れています。そしてWファントムどちらも、子どもを連れて歩く姿がまたいい(萌)。
ファントムとグスタフが呼応し共鳴し、グスタフが自ら歌いかけ始めると、観ているほうも高揚してきます。
 
そんな中、興奮して素顔を見せたファントムを見て、ファントムを突き飛ばして逃げ出すグスタフ。
このシーンで、初期のころ(?)は、市村ファントムと鹿賀ファントムの違いが出ていて非常に面白かった。
市村ファントムは、グスタフに突き飛ばされて大きくよろける。大の大人がそこまでよろけないのではというくらい大きな動きでよろけてファントムのショックを表し、姿を隠します。
鹿賀ファントムは、グスタフに突き飛ばされても動かず、ただ呆然としてグスタフがいなくなった目の前の空間を見つめ、はっと我に返って姿を隠していました。
しかし後半に観たときは、鹿賀ファントムも大きくよろける演技に変更した模様。最初に観たときの呆然としている演出も好きだったんだけどなぁ。
 
姿を隠した裏で、再び仮面だけを着け、かつらは着けず髪はそのままで現れるファントム。
下手側の席だと舞台端奥でファントムが鏡を見ながら仮面を着けるところが見えるのですが、市村ファントムは、仮面をつけたあと、鏡を見ながらわずかにある髪の毛を逆立てていたとツイートで見て、笑ってしまいました。市村ファントムならやりそう。かわいい。
 
そんなファントムが、「気づかないと思ったか。真実を告げる気はないか」と歌いながら現れたときは、思わず「真実を告げようとしてもいなかったのはお前のほうではないか」と助走をつけて殴りつけようかと思いました。
 
ぼろぼろの姿で現れたファントムに、思わず手を差し伸べようとするメグはとても印象的。それを遮るようにクリスティーヌにお願いされて、グスタフを連れて行くメグはいい子だなぁと(※100%誉める意味合いではないのですが)。本当はファントムのそばにいたかっただろうに。
ラストのメグの暴発は完全に、ずっと我慢して大人しく良い子にしている子ほど、怒った時が恐いってやつだなと。
 
メグとグスタフが退場し、クリスティーヌから真実を告げられたファントムは「息子…!息子…!!」と崩れ落ちます。
これもツイートを見て「確かに」と納得したことなのですが、この台詞の時、
市村ファントムは、「自分に血を分けた息子がいた…!」という喜びが混じっていますが、鹿賀ファントムは、「息子がいたのに…!自分は…!!」という後悔と悲しみが混じっています。
 
クリスティーヌが退場し、1人残されたファントムのソロからの、マダムのソロ。
どちらのマダムも歌唱力を最大限に見せつけてくれるのですが、個人的にはあの身をよじる演出がちょっと違和感で完全には入りこめず。
これもツイート情報ですが、最前列センターブロックに座ると、マダムの歌がいちばん盛り上がるところで指揮の塩田さんが「じゃーん!!」と言っているのが聞こえてしまうそうです。いや面白いけどそれはマダムの絶唱の感動が吹き飛ぶ(苦笑)。
 
ちょっと話が逸れますが、前方席が必ずしも良席じゃないことを、今回は特に痛感しました。役者さんの細かい表情や演技まで見られるという点ではもちろん良いのですが、かなり前列の端からは、あのファントムの仮面のような巨大セットの足部分が邪魔で、セットの真ん中奥(ファントムの登場シーンなど)が見えないということがありました。
また、2階ブリッジにファントムが現れても気づきにくい。前から2列目で観たときは、私の両サイドにいた初観劇の方々が、「おいでエンジェルオブミュージック」のファントム登場に全く気づいていなかった(たぶん声だけのシーンだと思っていた)ので、わざとらしく顔ごと「がっ」と上を向いて周囲の方々を誘導するという、よくわからないことをしていました。
ちなみにクリスティーヌの「愛は死なず(ラブ・ネバー・ダイ)」は、GC階のセンターで観たのが最高。2階後方席からは、セット全体、舞台全体の動きが綺麗に見えてGood、ただしやはり迫力には欠ける、ということで、なかなか悩ましい。
 
話を戻して何度でも言いますが、このマダムソロはお2人とも本当に素晴らしかったです。1幕を締めるのにふさわしい。圧巻。
1幕と2幕、印象的なカルテットはどちらもマダムの歌が深みを出していて、マダムの歌はこの作品の要だなと。
 
というあたりで、ちょうど1幕も終わり、また5000字近くなってきたので、一端切ります。
感想&妄想【その3】に続く。